コラム

初回カウンセリングでは何を話す?準備と当日の流れ(公認心理師が解説)

カウンセリング
  • 「カウンセリングを受けてみたいけれど、初回に何を話せばいいか分からない」
  • 「上手く話せなかったらどうしよう」

—その不安はとても自然です。初回は“上手に話す場”ではなく、いまの困りごとを一緒に整理し、「次の一歩」を作るための時間です。

とくに恋愛・夫婦などパートナー関係の悩みは、相手の言動に心が揺れやすく、話している途中で怒りや涙が出たり、頭が真っ白になったりすることもあります。だからこそ初回で「整理の型」を持てると、その後の話し合いも少し楽になります。

 

この記事では、初回でよく扱う話題、10分でできる事前準備、当日の流れ(Zoomのオンラインカウンセリング)、話しやすくするコツ、よくある不安への対処をまとめます。
※カウンセリングは医療行為ではありませんので、安心して相談を始めるためのガイドとしてご活用ください。

【この記事でわかること】
  1. 初回カウンセリングの目的(整理/見立て)
  2. 初回でよく扱う話題(全部話せなくてもOK)
  3. 10分でできる事前準備
  4. 話しやすくなる「話す順番」テンプレ(恋愛・夫婦向け)
  5. Zoom当日に焦らない準備と流れ
  6. 初回でつまずきやすい不安の対処法

 

初回カウンセリングの目的は「整理」と「見立て」

心の引き出しへの整理

もちろん、初回でいきなり人生のすべてを話すことはできませんし、その必要もありません。
初回のカウンセリングの目的は大きく2つです。

1)悩みごとの全体像を整理する
2)悩みごとが続く背景(影響が想定される原体験や根本原因、出来事と受け止め方、感情の動きや行動など)を一緒に見立てる

パートナー関係の悩みは、「相手が悪い/自分が悪い」の二択にされやすい一方で、実際には“二人の間で繰り返されている関係性のパターン”がつらさを強めていることが多いです。
※私は、どのような対人関係においても、良い悪いはなく、あくまでも、人と人との相互作用だと考えています。そして、人一人ひとりの背景には、様々な事情や環境などが横たわっていますよね。

たとえば…
・ある出来事 → 不安 → 確認(追いLINE) → 相手が距離を取る → さらに不安が高まる
・ある出来事 → 悲しみ → 怒り → 相手を責める → 相手が黙る・避けようとする → さらに怒りが高まる

カウンセリングは、誰かを悪いかをジャッジするような場では決してありません。
カウンセリングの初回では、直面されている課題の背景にある根本原因や対人関係のパターンなどを浮き彫りにし、言葉にし、改善のための切り口を一緒に探していきます。


初回でよく扱う話題(全部話せなくてもOK)

初回で扱いやすい話題を、優先度が高い順に並べます。全部話せなくても大丈夫です。「話しやすいところ、話せるところから」で十分です。

いま一番困っていること(具体的な場面)

例)返信が遅いと不安で責めてしまう/ケンカのたびに別れ話になる/相手の言葉を深読みして眠れない/「無視された気がする」と胸が苦しくなる

いつから続いているか、きっかけは何か

「いつ頃から」「どんな出来事の後から」など、ざっくりで十分です。

困りごとが起きやすいパターン(繰り返し)

例)不安 → 確認(追いLINE) → 相手が引く → 不安が大きくなる → 頭の中でぐるぐる考えてしまう、のようなパターン

これまで試したこと・取り組んだこと(成功体験・上手くいった例を含む)

「効果が無かったこと」だけでなく、「少しだけでも効果のあったことや、例外的にでも成果につながったこと」などについても振り返ることができると、それが重要なヒントになることがあります。
例)話し合いを短く区切ると落ち着けた/翌朝に持ち越すと少し冷静になれた

小さなゴールを想定する

「完璧に仲良く」ではなく、「責めずに気持ちを伝えられる」「話し合いが10分で終わる」「不安が来ても自分で落ち着けるようになる」など、具体的に設定できると望ましいでしょう。
初めの小さな一歩・スモールステップの短期目標ですね。

10分でできる事前準備(話すことへの不安が減る)

準備は長時間やる必要はありません。次の3つだけでも十分です。紙でもスマホメモでもOKです。

メモ・事前準備

  1.  相談メモ(テンプレ)

    1)困りごと:
    2)起きやすい場面:
    3)自分の反応(考え・感情・行動):
    4)相手の反応:
    5)困りごとの結果(関係がどうなるか):
    6)こうなれたら少し楽:
    7)今は話したくないこと(あれば):

    ※「3)自分の反応」が書きにくい場合は、まずは「起きた出来事」と「その後どうなったか」だけでも十分です。

  2. カメラの希望を決める(オン/オフ/途中で変更)
    最初から最後までオフ、最初はオフで話せそうなら途中からオンにする、なども可能です。
    ご自身の安心を優先してください。
    顔を映さない方が話しやすい方も多くいます。
  3. 話したくないことに「境界線」を引く
    過去の出来事や家族の話など、今は触れたくない領域があれば「今日はここまで」と決めておくと安心です。
    必要なら、後で段階的に扱えます。境界線は“拒否”ではなく、安心して進めるための工夫です。

話しやすくなる「話す順番」テンプレ(恋愛・夫婦相談向け)

パートナー関係の悩みは、話しているうちに細部が増え、途中で迷子になることがあります。そんな時は、次の順番に戻すと整理しやすいです。

① 出来事(何が起きた?)
② 意味づけ(その時、頭に浮かんだ考えは?)
③ 感情(どんな気持ち?強さは10段階で?)
④ 行動(自分は何をした?相手はどう反応した?)
⑤ 結果(その後、関係はどうなった?自分はどう感じた?)
⑥ 望み(次はどうなれたら少し楽?)

例)「返信が遅い」
①返信が半日来ない → ②嫌われたかも → ③不安9/10 → ④追いLINE3通 → ⑤相手が距離 → ⑥一言だけ“安心の合図”がほしい

当日に焦らないための事前チェック

オンライン相談では、環境を整えることで安心材料が増えます。

・イヤホン(できればマイク付き): 声が聞き取りやすく、周囲にも漏れにくい
・通知をオフ: 途中で着信や通知音が鳴らないようにする
・プライバシーの守られる場所: 自宅のお部屋が難しければ、車の中や個室ブース等も活用できます
・中断が必要になった時の合図: いつでも「少し休憩したいです」と伝えてOKです
・相談メモを手元に置く: 言葉が出ない時に戻れる“地図”になる

準備は完璧でなくて大丈夫です。「当日焦らない程度」に整えれば十分役に立ちます。

初回で「話さなくていいこと」も決めておくと楽になる

初回で無理に深い過去を話す必要はありません。細かな経緯をすべて説明しようとすると疲れてしまう方も多いです。
まずは「今、困っていること」と「繰り返してしまっているパターン」だけでも十分です。

また、パートナー関係の相談でも、まずはご本人の視点から整理していくことがお勧めです。
必要に応じて今後の関わり方を検討します。

パートナー関係の相談で起きやすい「3つのすれ違い」

恋愛・夫婦の悩みは、相手の性格だけが原因ではなく、すれ違いの型が固定化していることが多いです。
・追う—逃げる: 不安が強い側は確認が増え、相手は重さを感じて距離を取る
・責める—黙る: 言い合いが増え、片方は防衛で黙り、もう片方は怒りが増える
・我慢—爆発: 言えない期間が続き我慢が募り、ある日限界に達して大爆発して後悔する

初回では、この“型”を見つけて言語化することを大切にします。
型が見えると、二人の問題を「誰が悪い」ではなく、「何が原因でどのようなことが起こっている」のか、「改善のためにはどこにアプローチしていけばよいのか」を見出しやすくなります。

当日の流れ(初回・75分のイメージ)

基本的には次の流れで進みます(その日の状態に合わせて調整します)。

・開始〜10分: 安心して話すための確認
守秘義務について、進め方、今日のゴール(例:状況の整理、全体像の把握、今後の方針についてなど)を確認します。
緊張が強い場合は、話すペースも調整します。「今日はカメラオフで」「途中で休憩したい」など希望があれば、いつでも遠慮なく伝えてください。

・10〜55分: 困りごとの整理(パターンを一緒に見つける)
出来事→考え→感情→行動→結果、の順に整理することが有効な場合もあります。
恋愛・夫婦の悩みでは、相手の言動に反応して不安や怒りが強まり、結果として関係が悪化するパターンが見つかることが多いです。
ここで「自分を責める」「相手を責める」よりも、“パターンを変えていくためのポイント”を探っていきます。

・55〜75分: 次の一歩と、今後の方針
初回の最後に、日常で試せる小さな行動目標を考えます。
たとえば、返信が来ない時の“確認の仕方”を変える、話し合いの時間を短く区切る、感情が上がったら一度落ち着く手順を作る、などです。
相手との関係性の中で安心できた・達成できたというような、小さな成功体験を積み重ねることは、とても大切な取り組みです。

伝え方の例文(責めずに気持ちを伝える)

パートナー関係の悩みでは、言い方ひとつで相手の反応が大きく変わります。責める言い方を、短い“お願い”に変えるだけでもパターンが変わることがあります。

・×「なんで返信くれないの?」
 ○「今日は色々あって、特に不安になりやすいみたいで。一言だけ返事があるとうれしいな/安心できそう」

・×「いつも逃げるよね」
 ○「話したいなって思っているんだ。今夜10分だけ時間をもらえる?」

・×「私のこと好きなら証明して」
 ○「不安になってしまって……、安心できる言葉がほしいな」

ポイントは、短く、具体的に。または、時間や期限を決めることも有効になります。
「今すぐ全部変えて」より、「今夜10分」「一言だけ」の方がよい結果に結びつきやすいことが多いです。
拗ねてしまったり、感情がこじれてしまう前に、Iメッセージで素直に伝えられるとよいですね。

よくある不安と初回でつまずかないための対処

・泣いてしまったら?
泣くのは自然な反応です。落ち着くまで呼吸を整え、ペースを下げて進めます。カメラオフも自由に選べます。

・沈黙が気まずい
沈黙は「整理している時間」でもあります。沈黙を恐れず、大切にしていきましょう。
言葉が出ない時は、体の感覚(胸が苦しい、肩が重い等)から話すと進みやすいです。

・話がまとまらない/飛んでしまう
まとまっていなくても大丈夫です。カウンセラーが要点を整理し、確認しながら進めます。事前メモがあるとさらに安心です。

・相手のことばかり話してしまう
パートナー関係では自然です。ただ、変えられるのは“自分の反応”の部分が多いので、相手の話と同時に「自分の考え・感情・行動」も一緒に見ていけるとよいでしょう。

・一回で解決しないと意味がない?
初回は「状況の整理」と「今後の方針について」一緒に考えていく時間です。
カウンセリングを継続していく中で、成功体験を積み重ね、パートナーとの信頼関係を築きながら、対人パターンを整えていくことが大切になります。

こんな状態が続くときは、早めの相談が役に立つ

早めの相談が大切

・不安や怒りで睡眠や仕事に支障が出ている
・ケンカのたびに別れ話になり、関係が消耗している
・自分を責める気持ちが強く、気分が落ち込みやすい
・相手の反応が怖くて、本音が言えない状態が続いている

一人で抱え続けるほど、パターンは固定化しやすくなります。早めに整理できると、その後の選択肢が増えます。

ここまで読んで「少し当てはまるかも」と感じたら、まずは整理だけでも大丈夫です。
体験申込に必要なのは、ニックネームとメールアドレスだけ。
Zoomのカメラオフ(音声のみ・顔出し無し)で相談できます。
安心してお話しできる環境の中で、一緒に状況を整理していきましょう。

 

まとめ

ポイント(まとめ)

初回は「整理する回」。上手く話せなくても大丈夫

初回カウンセリングは、上手に話す場ではなく、困りごとを整理して次の一歩を作る時間です。
恋愛・夫婦などパートナー関係の悩みは感情が揺れやすいからこそ、まず循環を言語化することが役に立ちます。

事前準備は10分で十分。相談メモとカメラの希望、話したくない領域の境界線だけ決めておけば、当日は進めやすくなります。
初回で決めた小さな行動を日常で試し、安心できた経験や成功体験を積み重ねることが、その後の改善を支える土台になります。

 

Q&A(よくある質問)

Q&A(よくある質問)

 

Q1. 初回は何分話しますか?
A. 75分の中で、一般的には、整理→見立て→今後の方針まで一緒に考えていきます。話せる範囲で大丈夫です。
Q2. カメラオフでも失礼ではありませんか?
A. 失礼ではありません。安心して話せることが最優先です。途中で変更もできます。
Q3. 話したくない内容は断れますか?
A. 断れます。「今日はここまで」と境界線を引くことは大切です。
Q4. 継続はどのくらい必要ですか?
A. 個人差があります。初回で方針を相談し、日常で試した結果を踏まえて次を調整していくことが多いです。
Q5. 上手く言葉にならない時はどうすれば?
A. 体の感覚や“困る場面”から話すと進みやすいです。メモがあるとさらに安心です。
Q6. 相談内容がまとまらないまま予約して大丈夫ですか?
A. 大丈夫です。初回は“整理する回”なので、まとまっていない状態から一緒に整えていけます。

 

初回体験カウンセリングのお申込み(ご予約)へ

顔出しがつらい日、言葉がうまく出ない日でも大丈夫です。
Zoomは カメラオフ(音声のみ) で参加できますし、途中でオン/オフを切り替えることもできます。
また、初回体験予約のお申込みに必要なのは、ニックネームとメールアドレスのみです。

「このまま一人で抱えるのはしんどい」と感じたタイミングが、相談の合図です。
初回は、いま起きていることを整理し、今後の方針を一緒に相談するところから始めます。無理のない形で進めていきましょう。


記事監修

公認心理師 櫻井 良平

監修者写真兼カウンセラー写真

国家資格
  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • キャリアコンサルタント
  • 社会福祉士
  • 保育士
所属学会等
  • 日本公認心理師協会
  • 本公認心理師学会
  • 日本認知療法・認知行動療法学会
  • 日本発達障害支援システム学会
    (第17回研究セミナー・研究大会において学会賞受賞)
略 歴
  • 医療機関や民間のセンター等での対面・電話・オンラインカウンセリング経験が豊富
  • 認知行動療法にかかる厚生労働省・国立研究機関主催研修を修了
  • 第一線の専門家に師事し、精神分析療法、解決志向短期療法、愛着理論、応用行動分析学等を研究
  • 教育・心理・社会保障・保健医療分野における国内外の国際協力プロジェクトへの従事経験を持つ
    (開発途上国における「育児・子育て手法」「発達アセスメント・支援ツール」「知能検査」の開発・普及プロジェクト等)