大人の愛着障害セルフチェック|愛着スタイル(不安型・回避型)の傾向と対処法、パートナーとの関係改善について(公認心理師が解説)
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「いつも不安を感じている」
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「関係性が深めなりたい気持ちがある一方で、急に距離を取りたくなる」
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「振り返ると、これまでの恋愛でも同じような失敗パターンを繰り返してきた」
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「好きになってはいけない人ばかり、どうしても気になって、好きになってしまう」
このような悩みを抱えていても、何からどのように対処すればよいのかわからず、
『一人で抱え込んできた』『誰にも相談してこなかった』『何とかやりすごしてきた』という方も、少なくないのではないでしょうか。
そこでまず活用していただきたいのが、あくまでも簡易的に自分の傾向について振り返り整理するための【大人の愛着障害セルフチェック】です。
(※医学的な診断とは異なります。)
最初に大切な前提をお伝えすると、大人の『愛着障害』とは、医学的な診断名ではありません。
本記事で私は、大人の『愛着障害』とは、「愛着(アタッチメント)形成上の課題の影響によって、対人関係に悩みを感じ、生きづらさを抱えやすい状態」と定義します。
セルフチェックの目的は、病名や診断名を付けることではありません。
『自分は、どのような場面で心が不安定になりやすいのか』『それには何が影響しているのか』を整理し、「自己理解を深めた上で、自分に合った適切な対処法について検討し、改善や克服のための糸口を見出していくこと」です。
【この記事でわかること】
・アタッチメント(愛着)についての大切な前提
・愛着形成上の課題は【不安型】【回避型】として表れる
・大人の愛着障害セルフチェックと活用方法
・各タイプの特徴と日常生活における具体的な対処法
・カウンセリングでできること
アタッチメント(愛着)についての大切な前提

私は、愛着(アタッチメント)とは、【自分に対して無償(無条件)の愛情を注いでくれる相手に抱く信頼感や安心感】と定義しています。そして、愛着にまつわる課題について、『苦しんでいる本人が悪い』『親が悪い』『親に責任がある』といった見方では、決して捉えません。(※ 親:養育者、主たる養育者)
それは、すべての親に、我が子へのあふれんばかりの無償の愛情があると信じているからです。たとえ、愛情を注ぎ表現することに不十分なところがあったとしても……。
さらに、親自身も、愛着形成過程において苦しんできたケースが非常に多く、愛着にまつわる課題は世代を超えて連鎖するということを、頭での理解だけではなく、十数年に亘る3千件以上のカウンセリング経験を通して、体感・痛感してきたからです。
何よりも重要なのは、克服(改善・回復)です。そして、そのために必要不可欠なのが、大切な相手との関係性の中で築かれ、安心・安全が保たれた【心の安全基地(心の拠り所)】です。克服(改善・回復)は、【心の安全基地(心の拠り所)】足り得る存在や居場所無くしては進みません。
すでにAIの台頭によって、かなりの部分が代替され、補完されてきていますが、人はやはり、生身の人との関わり・交流を通して生きる生き物です。そのため、大切な方、パートナー、友人や家族、相互に信頼・尊重できる相手との関係が何よりも大切なのです。
そのような相手が、今すぐに見つからなくても大丈夫です。まずは、カウンセラーがその存在になります。そのためにこそ、『カウンセラー』や、『カウンセリング』というものがあります。
あるご相談者の方が、しみじみと言われた言葉があります。
「誰かに肯定してもらうことって、こんなに力になるんですね……。」
愛着形成上の課題は【不安型】【回避型】として表れる
不安型の愛着スタイル(対人関係のスタイル)の傾向が強い方の特徴
・見捨てられることへの不安が強い
・相手の反応に一喜一憂し、気持ちが不安定になりやすい
・不安を払拭するための確認行為が増えやすい
・相手の気持ちが見えないと苦しくなりやすい。
回避型愛着スタイル(対人関係のスタイル)の傾向が強い方の特徴
・親密になるほど息苦しさや負担感が出やすい
・頼ることや甘えること、弱さを見せることが苦手
・自分の気持ちを言葉にすることが苦手
・話し合いが苦しくなり距離を取りたくなる
実際には、どちらか一方だけではなく、2つの傾向を併せ持っている方も少なくありません。
セルフチェック活用の際の注意点
・本チェックは、医学的な診断ではありません。あくまでも傾向を探ることを目的としています
・当てはまる項目が多かったとしても、何らかの病気や障害を意味するものではありません
・同じ方でも、その日・その時の状況や疲れの程度、ストレスなどによって、結果が変わることもあります
・あまり時間を掛けて考え過ぎずに、直感的に回答していくことがポイントです
大人の愛着障害セルフチェック

不安型の愛着スタイル(対人関係のスタイル)の傾向について
・直近1~3ヶ月を思い浮かべながら、当てはまる項目の数を数えてください。
※10項目中、いくつの項目が当てはまりますか?
2.不安になると、何度も確認したり、質問責めをしたくなる
3.相手の予定や交友関係が分からないと落ち着かない
4.相手の言葉や態度を何度も思い返してしまう
5.『大切にされている証拠』を求めたくなる
6.少しのきっかけや違和感からネガティブな想像がふくらみやすい
7.相手に合わせすぎて、自分の気持ちや予定を後回しにしやすい
8.けんかのあと、謝り続けたり、引き止めたくなったりする
9.相手が去ってしまうのが怖くて、本音を飲み込みやすい
10.ひとりでいる時間がつらく、恋愛や相手に依存しやすい
回避型の愛着スタイル(対人関係のスタイル)の傾向について
・直近1~3ヶ月を思い浮かべながら、当てはまる項目の数を数えてください。
10項目中、いくつの項目が当てはまりますか?
2.相手から色々言われると責められているように感じ、黙ったり距離を取ったりしたくなる
3.相手から頼られると、負担に感じられる
4.自分から相談したり、弱音を言ったりすることが苦手で、一人で抱えやすい
5.自分の想いや考えを言葉にしようとすると、難しさを感じる
6.けんかのあと、しばらく連絡を取らずに距離を空けがちである
7.「どうせ分かってもらえない」という、あきらめに近い想いがある
8.自由を奪われるように感じると、窮屈に感じられ、反発したくなる
9.相手が近づいてくるほど、逆に離れたくなる
10.甘えたい気持ちはあるが、実際に行動に起こすことは苦手である
結果の目安(傾向についてつかむ)
【不安型】愛着スタイルと【回避型】愛着スタイルの傾向について、当てはまる項目は、それぞれいくつありましたか?
3つまでは低め、4~6は中程度、7つ以上は高めと考えてください。
ただし、セルフチェックの結果は、あくまでも目安です。当てはまる数は、疲れや忙しさ、ストレス、心身の健康状態などの程度によっては、高まったり、緩和されたりします。
私は、人と人、人と環境との相互作用により影響されると考えています。
だからこそ、安心・安全が保たれた人や居場所である心の安全基地(心の拠り所)の存在や安定が、大変重要となります。
そして、このセルフチェックを1つの目安として、日常生活において具体的には、【何がきっかけで】【どんな考えや気持ち、身体反応が起こり】【どんな行動につながり】【どのような結果になりやすいか】について深く考察します。その結果、悪循環のパターンが浮き彫りになれば、そこに焦点を当てて、改善のために取り組んでいくことも可能となります。
たとえば、
・不安型の傾向が強い方は、返信が遅い→『嫌われたかもしれない』と考える→不安が強まる→追いLINE(ライン)や、スマホを何度も確認する→相手が疲れて距離を取る→さらに不安が強まる、という悪循環に陥りやすいです。
・回避型の傾向が強い方は、話し合いの空気になる→『責められるかもしれない』『面倒だ』と感じる→緊張やしんどさが高まる→黙る、離れる、逃げる、返事をしない→相手が不安や怒りを強める→さらに話し合いが負担になる、という悪循環が起こりやすいです。
セルフチェックの目的は今後に役立てること
大人の愛着障害セルフチェックの結果、どちらか、または両方の結果が高かったとしても、それは、『誰かが悪い』とか『誰かに問題がある』ということを意味しません。
セルフチェックの目的は、誰かのせいにしたり、誰かを責めたりすることではありません。
大切なのは、自分の傾向についての【自己理解】を深めた上で、今後の生活に役立てていくことです。パートナーもチェックが可能であれば、パートナー自身の自己理解にもなります。
そして、それをパートナーと共有することによって、お互いにパートナーへの【他者理解】を深め、【相互理解】を促進することで、よりよい関係性を築くことができます。
各タイプの特徴と日常生活における具体的な対処法
※相手に伝えるときには、具体的に、簡潔に、Iメッセージで伝えられるとよいでしょう。無理のない代替案を提示することもお勧めです。
不安型愛着スタイルの傾向が強い方の特徴と対処法
特徴
たとえば、
相手から半日連絡がないと、『嫌われたのかもしれない』『もう気持ちが冷めたのではないか』と考えやすくなり、追いLINE(ライン)をしたり、長文連絡を送ったり、質問責めにしたりしやすくなります。
対処法
・連絡する文面を書き出してみる
・3分間、意識的に違う行動をはさむ(深呼吸、ストレッチ、筋トレ、動画を見る、音楽を聴く、好きな飲み物を飲むなど)
・改めて文面を読み返してみる
・大人の愛着障害セルフチェックの結果を思い返す
・改めて、連絡を送るかどうかを決める
・連絡をすると決めた場合、必要なら修正した上で送る
無理せずに続けることが可能な、小さな一歩から始めることがポイントです。
回避型愛着スタイルの傾向が強い方の特徴と対処法
特徴
相手から「少し話したいことがある」と言われた場面で、『責められそうだな』『重たい話はしんどいな』と感じ、返事をしなかったり、あいまいにしたり、距離を取りたくなったりする傾向があります。
対処法
「今日は仕事で難しいけれど、明日、家に帰ってから、10分だけ話してもいい?」などのように、無理をせずに、期限付きの具体的な代替案を提示することもお勧めです。
不安型・回避型の両方の傾向が強い方の特徴と対処法
特徴
基本的には、不安型・回避型の2つの傾向を併せ持った状態です。
次のように心が揺らぎ、葛藤状態に陥りやすくなります。
・近づきたい一方で、距離を置きたい気持ちもある
・関係性が深まった後に、急に気持ちが冷めてそっけなくなる
・自分でもよく分からずに、自己嫌悪になる
・相手が離れそうになると、不安が高まって必死につなぎ止めようとする
対処法
衝動的・感情的に相手を責めたり、急に別れを告げたり、一人で抱え込み距離を取ったりするのではなく、少しずつ、勇気を出して、自分のありのままの気持ちを率直に伝えていくことがお勧めです。
「私自身もよく分からないところがあるんだけど、今は気持ちが揺らいでいるから、少し落ち着くための時間が欲しいな」などのように伝えてもよいでしょう。
気持ちの揺らぎや葛藤状態について、少しずつ具体的にお伝えしていくこともお勧めです。
相手が理解し、受け止めてくれるなら、それは大きな成功体験となり、相互理解が進み、関係改善・強化につながることが期待できるでしょう。
セルフチェック結果と対処法を参考に実践してみましょう
まずは、セルフチェック結果を参考に、対処法について試してみてください。
関係改善は、一朝一夕では成し得ません。一進一退したり、停滞したりを繰り返しながら、少しずつ進んでいくものです。
2週間取り組んでいただき、達成できたことについて振り返ってみましょう。小さなもので充分です。
一方で、お悩みやつらさ、苦しさ、生きづらさには、当然ながら個別性があります。そのため、一般的な対処法では難しかったり、効果が実感できなかったりする場合には、第三者の立場の専門家であるカウンセラーと一緒に、守秘義務の守られた安心できる環境の中で取り組んでいくことも可能です。
お一人おひとりに合った、最適なアプローチ方法を一緒に考えていきましょう。
カウンセリングでできること

初回の体験カウンセリングでは、初めから、繊細かつ負担の大きい話を無理にしていただく必要はありません。まずはじっくりとお話を伺いながら、関連性のある事柄についてのカウンセラーからの質問も交えて、現在のお悩みの状況を総合的に把握することに努めます。
また、これまでに取り組んでこられたことや成功体験、ご相談者様ご自身の個性や強み、長所、魅力などについてもお伺いします。
その上で、現在直面されておられる課題の背景や根本原因についての仮説を立て、解決・改善・克服のための方策を一緒に検討していきます。
※書籍やインターネット上にも、様々な解決策という名の情報があふれていますが、それらはあくまでも不特定多数に向けられた、一般的な対症療法に止まってしまうという限界性があります。根本的な解決のためには、一対一のカウンセリングを通して深掘りし専門的に洞察した上で、個別最適化された根治療法としての方策を検討していくことが重要になります。
カウンセリングは、継続されることで効果が高められます。一問一答や、占いとは異なり、ご相談者様自身が主役となり、主体的に考え取り組まれて行く過程にカウンセラーが伴走し、支え、目標達成を後押ししていくものです。
こころケアのオンラインカウンセリングは、Zoomカメラオフ(顔出し無し・音声のみ)でも参加できます。『顔を出すのはまだハードルが高い』『上手く話せるか不安』という方でも、今の状態に合わせて無理をせず少しずつ進めていくことができます。
まとめ
恋愛などの対人関係で『いつも不安になる』『親しくなるほど距離を取りたくなる』『同じ失敗を繰り返す』などのように感じる方に向けて、本記事では【大人の愛着障害セルフチェック】を通して、ご自身の傾向をつかむ方法をご紹介しています。
※『大人の愛着障害』とは、医学的な診断名ではなく、愛着形成上の課題の影響により対人関係において悩みや生きづらさを抱えやすい状態を指します。
セルフチェックの目的は、病名や診断名をつけることでは決してなく、自分自身がどのような場面で不安定になりやすいかを知り、今後のために、改善の糸口を見つけることです。
セルフチェックでわかることは、特にパートナーなどの大切な方との対人関係のスタイルである【不安型愛着スタイル】と【回避型愛着スタイル】の傾向についてです。2つの傾向を併せ持つ方もいます。
セルフチェックを通じて、自己理解・他者理解・相互理解を深めると同時に、ご紹介した対処法についても実践していただき、関係改善・強化にお役立ていただければ幸いです。
また、個別性・専門性の高いお悩みでもありますので、こころケアのカウンセリングを活用されることもお勧めです。
Q&A(よくある質問)

Q1.セルフチェックで当てはまる項目が多いと『愛着障害』ということですか?
A.いいえ。これは医学的な診断とは異なります。あくまでも目安として対人関係のスタイル(愛着スタイル)をつかむためのセルフチェックです。
Q2.相手と近づきたい一方で、ときどき急に離れたくなる衝動が起こります。矛盾していますか?
A.矛盾ともいえるかもしれません。私は、人は矛盾した生き物だと思っています。正確にいうと、相反する感情がせめぎ合った心の葛藤状態の表れではないかと考えられます。近づきたい気持ちがある一方で、離れたくなってしまう気持ちもある、というのは、人として自然なことです。
Q3.回避型と言われると、冷たい人のようでつらいです。
A.おっしゃるように、回避型という言葉・表現は、誤解を招くおそれがあるかもしれません。回避型の傾向のある方は、冷たい方ということではなく、対人関係のスタイルに特徴があり、自分に合わない親密さや関係性に対して負担を感じやすく、過度な負担から自分自身を守るためにも、自分に合ったタイミングや時間、関係性の構築が求められるのだと思います。
Q4.恋愛以外でも、友人関係や職場でも同じことが起こりますか?
A.可能性があります。愛着形成上の課題は、対人関係のスタイル(不安型・回避型という愛着スタイル)に影響し、恋愛や夫婦関係だけでなく、他の対人関係にも影響することがあります。
Q5.何から始めればよいか分かりません。
A.コラムの中でご紹介した対処法を試していただくこともお勧めです。また、最近つらかった場面を1つ選んでいただき、【きっかけ】【思い浮かんだこと】【考えたこと】【感情】【身体の反応】【取った行動】【結果】の順に書き出して、振り返ってみることで、気づくことがあるかもしれませんね。
Q6.つらさが強いときはどうしたらよいですか?
A.睡眠障害、食欲不振、抑うつ症状、強い不安やパニック、自傷他害の衝動など、安全が保ちにくい状態がある場合には、早めに医療機関を受診されることをお勧めいたします。そこまでではないかもしれないと思われた方も、予防的に受診されること、まずは、お話しだけでもされてみることも有効な場合があります。また、カウンセリングでは、何でもご相談いただけますので、ご利用いただければ幸いです。
初回体験カウンセリングのお申込み(ご予約)へ
「自分の傾向は何となく分かってきたけれど、実際にどう向き合って取り組んでいけば、改善されるのか分からない」
「記事を読んでも、自分の場合はどこから手をつければいいか迷う」
「1人で取り組むのには不安がある」
そのようなときには、初回体験カウンセリングで、カウンセラーと一緒に整理するところから始めていきましょう。
お話しされることが苦手だったり、整理できていなかったりしても大丈夫です。カウンセラーが質問を交えながら、進めていきます。
こころケアのオンラインカウンセリングは、Zoomのカメラオフ(顔出しなし・音声のみ)でもご利用いただけます。ニックネームとメールアドレスのみで登録でき、守秘義務は当然ながら匿名性も守られますので、安心してご活用ください。
初めはお一人でご参加いただき、その後、夫婦カウンセリング・パートナー(カップル・ペア)カウンセリングにつなげることが可能ですので、まずは体験お申込みをご検討ください。
記事監修
公認心理師 櫻井 良平

国家資格
- 公認心理師
- 精神保健福祉士
- キャリアコンサルタント
- 社会福祉士
- 保育士
所属学会等
- 日本公認心理師協会
- 日本公認心理師学会
- 日本認知療法・認知行動療法学会
- 日本発達障害支援システム学会
(第17回研究セミナー・研究大会において学会賞受賞)
略 歴
- 医療機関や民間のセンター等での対面・電話・オンラインカウンセリング経験が豊富
- 認知行動療法にかかる厚生労働省・国立研究機関主催研修を修了
- 第一線の専門家に師事し、精神分析療法、解決志向短期療法、愛着理論、応用行動分析学等を研究
- 教育・心理・社会保障・保健医療分野における国内外の国際協力プロジェクトへの従事経験を持つ
(開発途上国における「育児・子育て手法」「発達アセスメント・支援ツール」「知能検査」の開発・普及プロジェクト等)